【書評】宝島を読んで。小説の面白さを改めて認識させられる。

宝島 真藤 順丈 直木賞




宝島を読みました。

真藤 順丈さんの第160回直木賞受賞作品です。

知人から勧められなければ読まなかった小説ですが、読み終えた今は確信を持って傑作と言える本でした。

なかなかの長編で体力がいりますが、ラストでこれほど清々しい気持ちになれたのは映画も含めて記憶にありません。

今回の小説をきっかけに「直木賞」に興味が湧きましたので、本の感想と直木賞についてまとめてみました。

 

【書評】宝島と直木賞について

 

1.宝島の感想

 

感想を一文でいうと「明日への希望が持てる清々しい作品」です。

恥ずかしい話、この小説についての事前情報は「何か賞をとった作品らしい」です。

 

 1-1.物語の時代背景(沖縄の歴史を学べる)

 

ページをめくり太平洋戦争の後、日本に返還される前の沖縄が舞台なんだな・・。そしてタイトルが「宝島」なので、どこかで宝でも発見するのか?くらいの安易な展開を想像していました。

 

take51
安易な想像に自分が恥ずかしい・・

 

想像を絶する悲惨な戦争を辛うじて生き延びたにも関わらず、アメリカに統治された後も無残な境遇に置かれていたとは・・

アメリカー(在日米軍兵士)が強姦、ひき逃げをしようが手の出せない状況。貧乏ゆえ犯罪に走る地元民・・

本を読むまで知りませんでした。

特に衝撃的だったのは、小学校の給食の時間に米軍爆撃機が墜落してきた話です。こういう表現が適切なのかわかりませんが、描写が素晴らしく事故の凄まじさがリアルに伝わってきました。

惨劇が目の前で起きているかのような表現に気持ち悪くなったほどです。映画の映像で見せられるより、恐怖が脳に直球で刺さるような感覚です。

後で知ることになりますが、「宮森小学校米軍機墜落事故」という実際に起きた事故がベースになっているという・・
※ウィキペディアのページ

 

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 1-2.戦果アギャーと登場人物

 

そんな時代を生き抜くため「戦果アギャー」という、米軍基地から物資を略奪行為が生まれます。

物語は「戦果アギャー」で活躍する人たちを中心に展開していきます。

  • おんちゃん・・・ 戦果アギャーの達人。人望熱き伝説の人。
  • レイ   ・・・ おんちゃんの弟
  • グスク  ・・・ おんちゃんの親友
  • ヤマコ  ・・・ おんちゃんの彼女。女給から教師となる。
  • ウタ   ・・・ 米軍兵士x現地女性のハーフ。キーマン。

 

略奪行為とはいえ、利他の精神で頑張るおんちゃんを筆頭に「英雄とは?」というテーマについて考えさせられます。

面白いのは登場人物のそれぞれが「英雄論」を展開していくこと。誰が正しいではなく、それぞれが信念をもった行動に胸を打たれます。

当然、「それは違うだろ・・」という人もいます。

読み終えた今、僕の中で英雄論の結論は出ていませんが、それはそれでいいと思っています。

 

 1-3.本のタイトル、宝島?

 

500ページを超える大作の最後の数ページで「宝」について触れられます。

一言でいうとウタが島で生きてきて触れてきた人、経験の全てが宝でした。ここの下りはすんなり体に入ってきて感動的な文章でした。

あえて詳細には触れませんが、素晴らしい経験をさせていただきました。しつこいですが、読書でここまで感動させられたのは初めてです。

時代背景が悲惨だったこともありますが、ウタの感じた幸せは些細なことです。

けど、些細なことに感謝ができて幸せを感じ取れるれることが本当の幸せなのでは無いでしょうか?

現代人が忘れている大事なことに気づかせてもらった気がします。

 

 1-4.おまけ(本をスムーズに読むために)

 

中にはこの本が苦手だった人もいます。僕の周りにもいました。

共通して言えることは随所に使われる方言の存在です。

僕も最初は方言を一生懸命に読もうとして苦労しました。ただ方言には「意味(訳)」がふりがなのように記されています。

そこを読むようにして、読むスピードと理解度が加速しました。

ただでさえ大作で体力がいりますので、この辺で手抜きしないともたないと思います。

 

 



 

2.直木賞について調べてみました

 

恥ずかしながら直木賞がどういう賞なのか知りませんでした。「宝島」があまりにも素晴らしかったので、直木賞について興味が湧きました。

公益財団法人日本文学振興会が贈呈する賞のようです。しかも正式には「直木三十五賞」

 

直木三十五賞

文藝春秋の創業者・菊池寛(明治21年~昭和23年)が、友人である直木三十五(明治24年~昭和9年)の名を記念し、芥川賞と同時に昭和10年に制定しました。新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品に贈られる賞です(公募方式ではありません)。正賞は懐中時計、副賞は100万円。授賞は年2回で、上半期(前年12月から5月までに発表されたもの)の選考会は7月中旬に行われ、受賞作は「オール讀物」9月号に一部掲載されます。下半期(6月から11月までに発表されたもの)の選考会は翌年1月中旬に行われ、「オール讀物」3月号に一部掲載されます。現在の選考委員は浅田次郎・伊集院静・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・東野圭吾・宮城谷昌光・宮部みゆきの各氏です。

※公式ページより引用

 

公式ページの過去の受賞作品(2019年7月時点)を見ると、司馬遼太郎など知った名前を見ることができます。「受賞ナシ」の回が多数あるように真面目に選考していることが伺いしれます。

「あかね空(山本一力)」「容疑者Xの献身(東野圭吾)」「下町ロケット(池井戸潤)」の3作品を読んでいました。

「あかね空」は山本一力が郷土の作家の代表作品ということで読みました。

名前は聞くけど読んだことがなかった東野圭吾の作品を何か・・、ということで選んだ本が「容疑者Xの献身」です。ラストの描写がとても印象に残っています。

「下町ロケット」は読んで面白かった半沢直樹シリーズの筆者の作品を何か・・、という理由で選びました。ドラマにもなった超人気小説!

 

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数少ない、読破している受賞作品ですが、この3冊と「宝島」で僕の中の直木賞受賞作品の株は「ぐん」と上がりました。

映画でアカデミー賞受賞作品に印象のよい作品が少ないので、本も同様に思っていましたが、考えが変わりました。

直木賞受賞作品を順番に読んでみたいと思いますが、手始めに第161直木賞受賞作品『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を読んでみます。

 

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できるだけ先入観を持たずに読みたいので事前情報はシャットアウトします。

 

take51
読書の幅が拡がりそうです

 

3.小説の面白さ

 

この本は小説の面白さを再認識されられた記憶に残る1冊となりました。

映画も面白いです。それは役者さんの演技や映像、そして音楽など他の要素が組み合わって構築されたものです。

一方、小説は作家の文章によって読み手の脳内に疑似映像が構築されます。この疑似映像が頭に浮かんで来た時の感動が小説の醍醐味の一つです。

 

take51
ここは作家の腕が問われるところですね

 

あとは限られた時間にまとめる必要のある映画と違い、人物描写や伏線など小説の方が細かく伝えることができるでしょうか??

いずれにせよ、伝達手段が言葉や文章のみという部分も小説の面白さなのかもしれません。

そのことについて改めて考えさせてくれた「宝島」に感謝です。

 

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